箕面市・豊中市の子供向けのギター教室です。

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黒いデカメロン

   

現代のクラシックギター作曲家の巨匠であるレオ・ブローウェルが1981年に発表した「黒いデカメロン」はクラシックギタリストの定番の曲になっており、様々なギタリストが演奏会で取り上げ、またCDにも録音されています。

私自身、この「黒いデカメロン」を若い頃はかなり練習もしましたし、演奏会やコンクールでも弾きました。

この曲は元々、レオ・フロベニウスという人が書いた「ブラック・デカメロン」というアフリカの民話に基づいた本の中からレオ・ブローウェルがインスピレーションを受けて3曲、作曲されました。

1.戦士のハープ(El arpa del guerrero)

荘重で力強い和音と、ハープのような分散和音が交錯する。 戦士の勇敢さと音楽家としての繊細さの対比を描写。

2.こだまの谷を逃れる恋人たち(La huida de los amantes por el valle de los ecos)

もっとも人気のある楽章。リリカルで流麗な旋律が特徴。 エコー(こだま)を模した反復や模倣が登場し、二人の愛が谷に響き渡るイメージ。 演奏者にとっては、レガート奏法とダイナミクスの繊細なコントロールが求められる。

3.恋する乙女のバラード(Balada de la doncella enamorada)

優しく、少し悲しげな旋律が続く抒情的楽章。 シンプルな旋律を美しく歌わせることが演奏上の鍵。 曲全体を締めくくる「内面の声」としての役割を持つ。

この度、原作のブラック・デカメロンを運良く手に入れる事が出来たので最初から最後まで読んでみました。

どうやら映画化もされていました。結構生々しい描写があり、フロベニウスの『ブラック・デカメロン』は、当時のアフリカ口承文芸を「生のまま」記録したものなので、性や欲望の話がかなり露骨に出てきます。

背景を整理すると…

アフリカの民話・説話は、ヨーロッパの昔話(グリム童話など)のように道徳的に浄化される前の姿が多く、性・死・暴力などをストレートに語ります。 フロベニウスは民族学者として「修正や検閲をしない」という姿勢で収録したため、ヨーロッパ読者にとっても衝撃的な内容が多かった。 そのため『ブラック・デカメロン』は、「学術的な価値は高いが、娯楽的に読むと不快」という読者の感想も少なくありません。私も相当不快に感じました。ですから西尾ギター教室の生徒さんには原作を読むのは薦めません。

ブローウェルの場合

ブローウェルが《黒いデカメロン》を作曲した際には、そうした性的な部分ではなく、

勇敢な戦士 禁じられた恋 乙女の純粋な想い といった「物語の叙情的側面」だけを音楽に取り入れています。

つまり、元の本の全体的なトーン(猥雑さ)ではなく、人間的で普遍的なテーマを抽出して再構成した、ということです。

《黒いデカメロン》と対応するお話(浄化版)

第1楽章「戦士のハープ」

あらすじ:

ある若い戦士は、戦いに優れただけでなく、竪琴(ハープ)の名手でもありました。

戦場に赴くときも、彼は竪琴を持ち歩き、仲間の心を励まし、また自分の魂を慰めました。

その音楽は、人々に「戦士は破壊する者であると同時に、心を癒す者にもなれる」ということを教えました。

👉 勇気と芸術が共存する人物像を描いた話。

第2楽章「恋人たちの逃避行(こだまの谷)」

あらすじ:

身分や部族の違いで、ある男女の恋は禁じられていました。

二人はそれでも愛し合い、追っ手から逃れて谷へと駆け込みます。

すると谷は彼らの声をこだまのように響かせ、互いの愛を確かめ合う手助けをしました。

こだまに支えられた二人は、どこまでも共に生きようと決意します。

👉 禁じられた恋と、自然に守られた純粋な愛の象徴的物語。

第3楽章「恋する乙女のバラード」

あらすじ:

ある村に、勇敢な戦士に恋した若い乙女がいました。

彼女はその思いを誰にも打ち明けられず、歌にのせてひそかに心を語りました。

その歌は切なくも美しく、人々の心を打ちました。

乙女の恋は叶うことはなかったけれど、その歌は永遠に語り継がれることになりました。

👉 恋する心の純粋さ、切なさを描いた物語。

フロベニウス『ブラック・デカメロン』に収録された具体的な話の例

ブローウェルが直接題材にしたとされる話はいくつか推測レベルですが、代表的な民話の例を紹介します。

「戦士と竪琴」系の物語 勇敢な戦士が戦いの合間に竪琴(ハープ)を奏でる。武力と芸術を兼ね備えた人物像を描いた寓話。 → 第1楽章《戦士のハープ》に対応。 「禁じられた恋と逃避行」系の物語 部族や身分の違いで結ばれない恋人たちが、追手から逃れて谷を駆け抜ける。谷にこだまする声が二人の愛を象徴する。 → 第2楽章《恋人たちの逃避行》に対応。 「恋する乙女」系の物語 若い乙女が戦士に恋をし、愛の苦悩や喜びを歌に託す。 → 第3楽章《恋する乙女のバラード》に対応。 ※ただしこれはフロベニウス作品に明確な元話が見つからず、ブローウェル自身の創作とされる。

結論

《El Decamerón Negro》は、フロベニウスの収集したアフリカ民話を主要な着想源にしつつも、一部はブローウェル自身の創意も加えて構成された作品です。

そのため、「○○という話が元になっている」とひとつに断定することは難しく、むしろ「アフリカ民話から受けた多様なイメージと感情を音楽的に昇華した組曲」として理解するのがより正確です。

皆様も是非、「黒いデカメロン」を練習してみて下さい。とても素晴らしい曲ですよ。

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