藤井敬吾先生との想い出

私が大阪音楽大学時代に作曲法の授業で習っていた先生が日本を代表するギタリスト・藤井敬吾先生です。
藤井敬吾先生は「羽衣伝説」という曲を30年程前に作曲され、この曲は技巧的にも音楽的にも素晴らしく、こぞってギタリストが演奏した曲でもあります。
私自身もこの「羽衣伝説」を練習した事がありますし、演奏会でも弾いた事が何度もあります。
大阪音楽大学の最初のレッスンで、藤井敬吾先生自身が目の前で羽衣伝説を弾いて下さり、その素晴らしさに私自身、腰を抜かした事は今でも鮮明に覚えています。
藤井敬吾先生には大阪音楽大学卒業後、一時期レッスンを見て頂きました。
ギターに対する情熱、そして音楽に対する向き合い方、厳しさは藤井敬吾先生に教えて頂きました。
今でも鮮明に覚えている事があります。
音大1回生から2回生に上がる進級試験の時に私はA.ヨーク作曲の「サンバースト」を弾きました。
試験が終わり、藤井敬吾先生から「西尾君、サンバーストみたいな曲は試験やコンクールで弾くような曲ではない。自分のコンサートで弾くのは良いけど、このような場で弾く曲ではないよ。もう少し、色んな曲を練習して勉強しなさい」と言われました。
当時の私には藤井敬吾先生の仰る意味が全く理解出来ませんでした。
あれから26年程経ち、藤井敬吾があの時言われた言葉の真意がよく分かりました。
サンバーストは確かに良い曲だと思いますが、クラシックギターの例外。もっと言えばポップスに近い曲ですね。
このような曲ばかり練習していては決してクラシックギターは上達しません。
クラシックギターに限らずクラシックを勉強する為には先ずは古典時代の曲を勉強する必要があります。
クラシックギターの古典なら、カルリ、ソル、ジュリアーニ、カルカッシ。
ロマン派ならメルツ、タレガ。
そしてバロックならバッハ、スカルラッティ。
そして近現代なら、ブローウェル、タンスマン、ポンセ、ヴィラ=ロボス、私が大好きなM.C.テデスコ。
他にも勉強しないといけない作曲家は沢山いますが、先ずは古典から練習しないといけません。
古典の時代の作曲家から学ぶ事は音楽の基礎、そして楽曲分析、ギター特有の和声進行を勉強するには古典時代の曲を徹底的に勉強する事が必要不可欠です。
そのような事を藤井敬吾先生は私に伝えたかったのだと思います。
今でも練習している時に、時々藤井敬吾先生の言葉が頭の中で流れます。
「あの時、藤井敬吾先生が仰りたかった事はこういう事だったのだ」と思う事が多いです。
一昨年、藤井敬吾先生は大阪音楽大学の特任教授を退官されました。
本当にお疲れ様でしたと私はお伝えしたいです。
何にも分かっていなかった私に根気強くレッスンして頂いた事を心の底から感謝しています。
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